ウエディング業界のおかしな決まりに力技で立ち向かう花嫁さんのはなし
「注文しなきゃいけないらしいんです」
目の前の新婦さんが言った。
ひと月ほど前。
初めて顔を合わせた時のことだ。
「会場のスタジオのスナップ撮影を注文しなきゃいけないらしいんです。でも私はどうにもソコの写真が好きになれないんですよ」
よくある話だ。こういう話が「よくある話」であることがブライダル業界の悪しき伝統なんだけどね。この新婦さんもその「よくある話」に呆れている。
「ヨソのカメラマン(僕のこと)を入れてもいいけど、会場の写真スタジオの商品も御購入頂かないといけないってプランナーさんが言うんです」
つくづくおかしな話だ。
仮に僕がこの披露宴を撮りにいったら、そこにはもう1人会場所属カメラマンがいるってことになる。新婦さんが望んでいないにも関わらずだ。
そのプランに含まれている写真商品は15万円。こりゃダメだと思った。この新婦さんが僕にスナップ写真を頼むと、僕の商品価格に加えて、会場スタジオに15万の商品を頼むハメになる。さすがに予算オーバーだろう。「会場の決まり」とやらに泣き寝入りするしか無い状況だ。
しかし、それが分かっているのに、この新婦さんはどうして僕に会いに来たんだろうか?疑問が残る。
「ですからね」
新婦さんが続ける。
「会場の商品も頼むことにしました。だったら文句言われないのでマスダさん撮影お願いしていいですか?」
へ?
この人なに言ってんだ?僕に堂々と撮らせるために余分な10数万を払うって言ってることになる。マジですか?
「はい。マジです(笑)。基本的な記録は会場のカメラマンに任せましょう。マスダさんはマスダさんが『きれい』だとか『たのしい』と思ったものを撮ってください。私はその写真が欲しいです。思う存分撮ってください」
だから思う存分撮ってきた。
それが昨日の話。
カメラマン冥利につきる母の日。
仕事にえこひいきはいけない。
常に同じ心持ちで撮影すべき。
そんなの理想論だ。
カメラは機械だが撮るのは人間。
そして僕は平気でえこひいきする人間だ。
お客様にこんなこと言ってもらえて、誰が燃えずにおれようか。
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